世界中にコーヒーチェーンを展開する巨大企業のスターバックスは新CEOにラクスマン・ナラシンハン氏(Laxman Narasimhan)を指名したと発表した。ナラシンハン氏の前職はイギリスの消費財大手企業であるレキットベンキーザー・グループのCEO。
昨年、ツイッターのCEOにインド出身のパラグ・アグラワル氏が就任したことは記憶に新しい。今回スタバのCEOに指名されたラクスマン氏もまたインド出身である。近年インド系アメリカ人の活躍が目立っている。なぜこれほどまでにインド出身の人物が活躍できているのか非常に気になった。
ナラシンハン氏の経歴
wikipediaによるとラクスマン・ナラシンハン氏は1967年4月15日生まれの現在55歳。
出身はインドのプネー。
学歴
・サヴィトリバイ・プーレ・プネー大学で機械工学の学位を取得。
・ペンシルバニア大学ラウダ研究所でドイツ語と国際研究の修士号を取得。
・ペンシルバニア大学ウォートン・スクールで金融のMBAを取得。
経歴
・2012年まで19年間マッキンゼーに勤務。ニューデリー事務所のディレクター兼ロケーションマネージャーに就任。
・2012年 ペプシコ入社。役職は最高コマーシャル責任者にまで昇進。
・2019年 レキットベンキーザー・グループCEOに就任。
・2022年9月 スターバックスがナラシンハン氏をCEOに指名
まさに華々しい学歴・経歴といったもの。同氏がいかに優秀な人物かということがこれらから見て取れる。ちなみに、このほかナラシンハン氏は6つの言語を話すことができると書かれている。
主なインド出身の大手企業CEOについて
過去CEOを務めた人物も含めて調べてみた結果は以下の通り。
・サンダー・ピチャイ(Google CEO)
・サティア・ナデラ(マイクロソフトCEO)
・パラグ・アグラワル(twitter CEO)
・アーヴィンド・クリシュナ(IBM CEO
・インドラ・ヌーイ(ペプシコCEO)
・ラケシュ・カプール(レキットベンキーザーグループCEO、ナラシンハン氏の前任)
・イヴァン・メネセス(酒類メーカー大手:ディアジオCEO)
・シャンタヌ・ナラヤン(アドビCEO)
・アジェイパル・シン・バンガ(マスターカードCEO)
少なくともこれだけいることが分かった。名だたる企業ばかりである。インドにルーツを持つ人々が活躍できるのはなにか秘密があるに違いないだろうと思った。
インド系アメリカ人がトップで活躍できる理由は?
上記記事ではインド人が活躍できる理由として、ざっくり以下のようなことが述べられている。
英語力や理系の分野に長けているだけでなく、多民族・多言語・多宗教国家で、貧富の差が激しくカースト制もある複雑な環境で生きている点。インドでは欧米や日本ではあり得ないことが頻繁に起こるとされ、そういったインドの環境と比較するとアメリカは過ごしやすく競争もゆるやかに見えるという。カオスな環境を生き抜く、粘り強い対応力が磨かれていくのだという。
もうひとつは「ジュガール」という考え方が根付いているという点にある。ジュガールというのは「あるものでなんとかする」という、状況に応じた創意工夫のことを意味する。常日頃から工夫する習慣があり、それを工夫を繰り返すことによって物事への対応力、発想力が磨かれているのだと述べられている。
記事を読むと確かに納得が行く点が多い。日本人には理解できないようなあり得ないことを日々乗り越えていくことで対応力が養われる。そして常識にとらわれない柔軟な発想力、さらには精神的な余裕を生み出し仕事で良い成果をだせるのだろうと思う。アメリカだけでなく今後は日本においても優秀なインド人経営者が数多く誕生するかもしれない。