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何がどのようにヤバいのか?梅野源治の「ヤバいだろ」について考察 ~「ヤバい」はヤバい~

RIZIN所属のムエタイファイター:梅野源治の顔芸にどっぷりとハマってしまっている。

思い出し笑いのように思い出したら何度もYoutubeを開き、判定シーンとインタビューの動画を何度も見てしまう。梅野源治のエンタメ性は抜群だ。彼はこれまで「日本ムエタイ界の至宝」と称されてきたが、それだけではない。見せる・聞かせる技術も持ち合わせている。今回は梅野源治のRIZIN34(皇治戦)で発せられた「ヤバいだろ」について考え真意を探っていく。

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「ヤバい」の意味について

 
 
 
 
 
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①定義

やばいの本来の意味 わかりやすく解説 Weblio辞書

まずは「ヤバい」の意味を調べる。

「やばい
やば・い
[形]《形容動詞「やば」の形容詞化》危険や不都合な状況が予測されるさま。あぶない。「—・い商売」「連絡だけでもしておかないと—・いぞ」

[補説] 若者の間では、「最高である」「すごくいい」の意にも使われる。「この料理—・いよ」」

辞書ではこのように記されている。

 

②実際の用い方

「ヤバい」は広義で用いられる言葉であり、あまりに汎用性が高く、状況により変化するため意味が定まっていない。良い意味でも悪い意味でも用いられる。

用いる場面によっては聞き手の解釈にバラつきが出てしまったり、聞き手に意味を無駄に考えさせてしまったりと、便利な反面デメリットもある。意味を考えさせてしまうという事は本来、発言者が意図していった意味とは全く違う意味に捉えられ誤解を招く要因となり時に危険となる。


「ヤバい」という言葉は辞書での定義では簡単にあっさりと片付けられてしまっている。しかし実際には様々な場面で意味が変化することから複雑な単語ではないかと思う。どんな状況においても大抵のことを「ヤバい」という一単語で片付けることができるからだ。

用例
・納期が「ヤバい」状態だ(危険、切迫した状態)

・このラーメン、スープが「ヤバい」(美味い)

・今、ドルの価格が「ヤバい」(高すぎる)

・あそこにいる男、目が「ヤバい」(怖い・不審・奇抜・かっこよすぎる等)

・おならのニオイが「ヤバい」(臭すぎる、もしくは非常に良い香り)

・「ヤバい!」会社に遅れる!(焦り)

・あの女優、綺麗で「ヤバイ」。(綺麗をより強調)

・お前、大麻は「ヤバい」ぞ。(注意喚起・危険な状況)

・この映画「ヤバい」です。めちゃくちゃオススメです。(面白い・優れている など)

 

このように意味や用法は多岐に渡る。広義で使用することができるため便利ではある。こういった「ヤバい」においては文脈やその場の状況において意味を察することができるため、誤解は比較的少ない。

しかしながら、

「あそこにいる男、ヤバくない?」

といった用い方がある。文脈やシーンで察することが難しく聞き手の価値観によって左右される場合だ。聞き手によって容姿が良いと言いたいのか、逆に容姿が悪い事言いたいのか、はたまたそうではなく不審で危険な状態だと言っているのか
解釈が異なってしまう。

 

皇治戦での「ヤバい」はどういう意味だったのか考える。

このように「ヤバい」には色々な意味があるということを踏まえ、皇治戦における「ヤバい」は何が、どのようにヤバかったのかを考えてみた。

なお、私が調べる限りでは「ヤバイだろ」について詳細に解説されている資料、本人による説明などは発見することができなかった。試合後のインタビュー映像を参考資料にして、可能性のあるものを列挙していく


①審判団の皇治に対する忖度が「ヤバい」

インタビューにおいて梅野源治は

「スポーツで格闘技をやっている以上、チケットを何枚売る、集客がどのくらいできる、それを判定に影響させてしまったら結局スポーツは発展しない。対戦相手にも失礼だと思う」

と発言している。これはすなわち皇治の集客力が高かったため、審判団が皇治に対して有利な判定をして忖度したという意味と解釈することができる。

この状況に対して梅野は「ヤバい」だろと問題提起する形で発言した説である。

 

②単純に負けそうなので「ヤバい」

これは最も簡単に推測できる「ヤバい」だ。

「ヤバいだろ」と発言したのは二人目のジャッジ(30対29)の後だ。29対29ドローが発表された後に発言している。自分の思惑通りにいかず、後がない状態となり単純に負けそうだったので「ヤバい」と発言した説だ。

梅野自身が試合内容を主観的に判断して満足していた。そのため勝っていると信じ切っていた。しかしながら実際のところは判定は皇治が優勢。思わぬ結果となりあまりに焦ってしまったためこのような発言が生まれたという可能性がある。

 

③僅差が「ヤバい」

ジャッジやRIZINの運営に対して無駄な演出はやめろと言いたかった説だ。

(①の説とあわせて、本当は梅野が勝っているのに)わざわざ雰囲気を盛り上げるために皇治優勢の僅差判定にして無駄な演出をするなと運営に言いたかったという可能性も否定はできない。

 

⑤疑問形だった説

「ヤバイだろ」ではなく「ヤバいだろぉ?」といった疑問形だった説である。

繰り返し聞いてみてもアクセント的には疑問形にはなっていないが、観客に言い聞かせていた可能性もある。

盛り上がる展開で観客に「どうだ、この試合ヤバいだろ?(面白い)」と言いたかったパターンと、①の説の背景を踏まえて「この試合、本当は俺が勝っているのにこの判定はヤバい(ひどい)だろ?」と言いたかったパターンの2つの意味が考えられる。もしかすると、このどちらかを観客に投げかけていたのかもしれない。

 

⑥スリルが「ヤバい」

負けそうだ、しかし3人目のジャッジまで結果がまだ分からない。ギリギリの僅差判定の展開にスリルを感じてヤバい(スリル満点)と漏らしてしまったパターンだ。あまりに興奮してしまったという可能性も考えられる。

 

本当の意味は?

今回の「ヤバい」の意味は上記の中のいずれかではないかと勝手ながら考えている。

一応梅野氏はツイッターをやっているものの、当然ながら私のような素人がメッセージを送ったところで返答は来ない。真意は本人でないと分からない。

 

最後に:「ヤバい」を使用するリスク

「ヤバい」を日常的に用いることによって語彙が失われてしまう。と私は考えている。

私自身の勝手な感覚では、「ヤバい」という言葉はあまりにも稚拙で「私は語彙が欠乏しています」と自ら言っているようなものではないかと考えてしまう。カッコ悪く感じてしまうというリスクもある。※あくまで自分の中でのイメージのため、他人が使っていても特に気にしない。自分は自分、他人は他人。

「ヤバい」に頼りすぎることは「ヤバい」し、自分の中でもかなり違和感がでてきた。年齢に見合わないと感じている。年甲斐もなくヤバいを使う自分ってどうなんだろうかという疑問を持つようになってきた。自分の中で「ヤバい」の使用はもう卒業すべきであると感じている。