映画は基本的に観ればだいたいのものは面白い。多少の不満があろうとなかろうとも面白かったと思えるものがほとんどだ。観たいと思って自発的に観ているから当然のこと。今回観た映画「マトリックス レザレクションズ」についてももちろん面白く楽しめた。しかしながら、過去の作品に比べてあまりにあっさりとしすぎて物足りない印象だった。過去の作品の栄光があり、色眼鏡で観ていたこともあるだろう。自分の中で期待しすぎていたところがあったようだ。
良かったところ
キアヌリーブスがやはりかっこいい。
これは言わずもがなだが、やはりネオは彼でないと務まらない。残念なのはジョンウィックやサイバーパンク2077と髪型が全く一緒だということ。昔のネオのようにもう少し若々しくしてほしいと思った。
トリニティ(キャリー・アン・モス)の美貌
圧巻の美貌であった。御年54歳。まったく衰えが感じられないどころか魅力が増しているように見えた。ショート気味の髪が好きな私にとってはとにかくたまらないものとなった。とにかく見惚れてしまう。
随所に回想シーンが出てくる
過去の作品の映像が随所に出てくる。前作から約18年も経っており忘れていることも多い。しかし随所に回想シーンが挿入されているため、わざわざ過去作品を観て復習する必要がなく親切に作られている。と同時に過去の作品達が偉大であることを改めて感じる。
センチネルの巣のデザインがエイリアンっぽくてカッコいい
ネオとトリニティが眠らされていたセンチネルの巣(現実世界)のデザインが良く目を引かれた。HRギーガー(エイリアン)の作品を彷彿とさせるようなデザインだった。
不満な点
過去のメインキャラは全員カムバックしない。
モーフィアスを演じたローレンス・フィッシュバーンとエージェントスミスを演じたヒューゴ・ウィーヴィングは残念ながら今回出演していない。出演するのは回想シーンで過去作品の映像が流れた時のみとなっている。
目立つキャラがいない。
リローデッドのツインズのようなユニークで危険そうな目立ったキャラクターは出てこない。敵キャラは至って平凡な仕上がりになってしまっている。
派手さや印象的なシーンがあまりない
リローデッドの時のようなトリニティとバイクのカッコよさを極限まで引き立てるようなシーンや、ハイウェイでのモーフィアスの死闘といったシーンに比べるとアクションは随分物足りず見劣りする。ハラハラするシーンがほとんどない。
レボリューションズであったザイオンでの防衛戦のような命がけのシーンはない。
初期の作品で好きだった片手で攻撃をかわすような印象的な格闘シーンはなし。
棒を支えにしてぐるぐるやるやつみたいなカッコいいシーン(動画2:40~)もなし。
スミスのポジションが意味不明
過去3部作にわたり闘ってきた敵であり、ネオの永遠のライバルと思われていたエージェントスミス。終始カッコつけてナルシストなキャラクターを演じている。中盤まではネオとの闘いを繰り広げるが、最後にはネオたちの味方をして闘いの手助けをする。
最後は半ば強引
最後、ネオとトリニティが敵の戦闘ヘリに追い詰められたところでビルから飛び降りる。そこで奇跡的にトリニティが飛べるようになっていた。ここで形成逆転。
仮想空間の世界のため、不可能はなく奇跡が起こったのだろうが、あまりに突飛すぎやしないかと思ってしまった。いきなりそりゃないでしょ~!と思った。
それまでトリニティにそのような片鱗を覗かせるせるシーンは一切なかった。ネオと久々に再会を果たして潜在的に秘めていたものが共鳴したのかもしれない。なんなのかよくわからなかったが、この部分はファンタジーのように感じた。
最後にコメント
本作品は無理矢理作らされた感が非常に強い作品であった。
作中、マトリックスの世界で生きる凄腕ゲームクリエイターとしてゲーム会社で働くネオが親会社のワーナーブラザーズに無理矢理ゲーム(マトリックス)の続編を作れと命じられるくだりがある。これは実際本作品をつくらせたワーナーブラザーズに対するウォシャウスキー姉妹による当てつけのように感じられた。彼女らの気持ちを表したシーンであると勝手に解釈。
マトリックスのエピローグにあたるストーリーなのであるが、全体的に粗削りのように見えて晩節を汚すような作品だったというのが率直な感想だ。映画としては面白かったことは間違いない。しかし非常にもったいなく残念という気持ちに駆られてしまう作品となった。