自分本位。

株とモノ批評、時々小話。なんでもことばに。

「パワハラダー」と叫ぶ同僚に辟易する話

人付き合いはよく考えて

人間は数千年もの間、生き長らえてきた。これは偏に危機察知能力に長けているからこそのものだろう。この世に蔓延るあらゆる危険から逃げる術を得ている。

人間には「この人とは距離を置いた方が良い」とか「危険だから関わるな」といったものを雰囲気だけで感じ取れる危機察知能力が遺伝的に備わっているように改めて思う。一種の勘だが、これはあながち間違いではない。

付き合う人間は選ぶべきとは言わないまでも、自らが持つ危機察知能力に照らし合わせ極力省くべきであると思う。多くは無駄な付き合いや不利益を被るものばかりであるからだ。(少なくとも私の経験においては)

基本的に人との付き合いは自分の意志で自由に選べるというわけではない。付きあえる人間は何らかの縁や運、環境によって限られてくる。その中で付き合うか付き合わないかを決めていく必要がある。私はこれまでの人生経験上、多くは無駄であったと後悔するものばかりだった。

付き合うべき人間は片手で数える位いれば十分なのではないだろうか。そして愛すべき家族がいればそれでいい。あとは基本的に最低限の付き合いで一定の距離を置きたい。


会社のYさん

仕事上、しばしばやり取りする同僚のYさんという人がいる。
その人は他県の営業所に所属する10年以上年の離れた先輩社員。ちなみに私と同じ平社員だ。業務内容が被っているため、情報交換のため一度本社で会って以来電話で連絡を取り合うようになった。

数年前からYさんから仕事の相談を受けていた。人員不足のため窓際的ポジションの部署へ一定期間応援として行くようにと指示されたという。これには納得がいっておらず、心底ご立腹の様子だった。彼は「こんな仕事をやるためにいるんじゃない」と不満を漏らしていた。こちらは「大変ですね」などと適当に相槌を打つなどして流す程度の対応に留めていた。

しかし最近またその話が再燃した。今度はその部署へ正式に席を移されてしまったとのこと。異動ではなく単なる席の移動。何らかの理由で席を隅に追いやられたということだ。これに対し「パワハラだー!」と彼は何度も声高に騒いでいた。「アベガー」のように。それと同時に私に対し「これってパワハラだよな?」と何度も同意を求めてきた。

私は「ハラスメントというのは本人の受け取り方次第で、主観的な面が強いので、そうなってしまう可能性もありますね」等とハッキリとは言わずに曖昧な回答に留めておいた。

話を詳しく聞いてみたところ、彼は不満に思って席を元の場所に戻してもらいたいというわけではなく、席を移動させられたことに腹が立って復讐をしなきゃ気が済まないという話だった。自尊心を傷つけられたことによってお怒りのご様子。さすがにこれに対して私は首肯をしかねる。というか理解することができなかった。火に油を注ぐことになるので「席そのままでもいいんだったら、それでいいじゃん」とは言えなかった。

思えばYさんに対し気がかりなことがあった。Yさんは厄介者、腫物的キャラという雰囲気を感じることがしばしばあったと言う点だ。社内の人間の多くはYさんの話がでると毎回「あ~Yさんね・・・(苦笑)」といった反応をする。

そして本人曰く、同じ職場内の人間関係は険悪。お局様とは仲が悪く一切口を聞かない、所長ともほとんど会話をしない。などと言っていた。周囲に味方はいない様子。なのでしばしばやり取りする私を味方にしたい模様。何の力もない平社員の自分が味方になったところでどうしもうもない。

話を聞く限り最初は職場の人間に難があるように思えていた。しかしそうではなく、だんだん彼自身に一定の問題があるのではと疑いの目を持つようになった。違和感を感じたのは彼は陰で上司のことを「バカ」、お局様のことを「ババア」等と口悪く呼んでいる点。どう思おうが人の勝手なのでその発言を否定するつもりはない。しかし堂々と他人に発するのは私の中ではNG。「口は災いの元」だ。悪口を押し殺さず言いたいこと、過激な事をすぐに口に出す点においてその人の人間性が垣間見えてしまう。

組織で働く以上、「仕事は仕事」としてどんなに嫌でも必要最低限のコミュニケーションは取るべきだ。というのが社会人であるという考えの私からすると到底考えられなかった。嫌いだから嫌いな人間とは会話をしないことが通用するのであれば随分楽な世界である。しかし会社に勤めていればそうはいかない。それは単なるわがままだ。会社員とは奴隷であり社畜。苦痛と共に生きていくものだ。精神的には常に石抱の状態である。生きるとは苦しむということ。

石抱 - Wikipedia

私は行き過ぎた彼の歯に衣着せぬ物言いが原因の一つなのではないのかと解釈せざるを得なかった。つまりは因果応報。思ったことをなんでも言うような慎みや我慢に欠けた性格だから不必要に和を乱し職場の人間から面倒臭がられ、隔離されてしまったのだろうと思った。本当は汚物は消毒したいところだけれども消毒まではできない。なので最低限臭いものには蓋をしておけという理屈に至ったのだろうということ。

一方本人は自分が正しいと思い込み、なぜそのような窓際に追いやられるような処遇を受けているのか?ということに気付いていない。「あなたのそういう所もあるのでは?」と言いたいところだが、口が裂けても言えない。そんなことを言ったりしたら、こちらも恨まれて面倒なことになる。

こういったタイプの人間は一旦敵に回すと後々面倒になるので、距離を徐々に置いて当たり障りなく接するというのが最善だ。幸いYさんの職場とは距離が離れており、電話だけのやりとりだけなので仕事で会うことはない。こういう人とは親しくすることはせず、あくまで仕事上の会話だけで終始させるということに努めたい。どちらの味方につくというわけでもなく、あくまで中立な立場を維持するのが良い。

基本的に人間関係は必要最低限で良い。

私の場合、すべてのストレスは人間関係(他者の存在)から生じるといっても過言ではない。だから会社における人間関係は必要最低限に留めたい。定時を過ぎたらそれ以降の私的な付き合いは一切無しというのが理想。

私は人間関係が苦手だ。人と群れることを嫌い、普段から極力一人で過ごしたいと考えるような性格だ。正直なところ、周囲に人間がいるだけ全く落ち着かないため誰もいない部屋で一人で仕事させてくれとさえ思うほどだ。とにかく仕事では目立たずひっそりと生きていきたいと願う。だからこんなしょうもない他人のいざこざに構っている余裕などない。

会社にはクセが強すぎる人間が多すぎて危険ばかりだ。私はこの危機察知能力に従い今日も目立たずひっそりと会社で生き延びていく。