自分本位。

株とモノ批評、時々小話。なんでもことばに。

記憶

夜、雨がザーザーと降りしきっている。まるで台風かのような激しい雨だ。
そんな中、私はスクーターで一目散に必死にどこかへ逃げている。

建物が等間隔に建てられ、網目のようになった道路を縫うようにジグザグと、とにかくどこかへ逃げなければと一目散にスクーターを飛ばす。

「時間がない、早く逃げないと」と私はかなり焦っている。

「危ない、後ろ!早く逃げろ!!」とどこからか男の大きな声が聞こえた。
振り返ると建物1階部分を超える高さの津波が建物と建物の間、後方50mほど先にみえた。「やばい死ぬ、もうだめだ。」と悟った。私は必死に逃げようとするも逃げきれず大きな波に飲み込まれ、まるで洗濯機の中にいるかのようにそこら中にあるがれきと共に水の中をぐるぐると回転した。

これはちょうど今朝見た夢である。昨夜大きな地震が起こった後、再度眠りについたときに見た夢だ。津波に飲み込まれた後に目が覚めた。

2011年3月11日、私は似たような経験をした。

当時は大学の春休み。沿岸部の実家でのんびりゲーム中の出来事である。
その時、経験したことがない大きな地震に襲われる。1分以上のとても長い強烈な揺れだったと記憶。外では警報が鳴り響く。両親はどちらも仕事で外出中。家にいるのは自分一人。

雪が降りしきる中、私は通学に使っていたズーマー(原付バイク)に乗り、何も考えず一人で沿岸部からとっさに逃げる。携帯電話が全くつながらず行く当てがないものの、とりあえず行った親戚の家で親と合流する。その日は親の車で車中泊をする。翌日、実家付近は壊滅状態となる。津波がほとんど全てのものを飲み込み何もかもめちゃくちゃにする。

当時は運よく原付があった。そして運よく逃げられて助かったと今でも思っている。
「今まで大したことなかったから今回も大丈夫だろう」とのんきに構えてそのままゲームを続けていたら自分の命はなかったことだろう。

世界では日々色々な事が起こっている。明日はわが身だとつくづく思い知らされる出来事だった。