2/3,2/4に東京都大田区の技術展:おおた工業フェアが行われました。
オンラインにてeVTOL(空飛ぶタクシー・エアモビリティ)に関する有益な講演がありましたのでご紹介します。
第26回 大田区高度技術・技能展 おおた工業フェア / 企画展 第1回 OTAテック・トレードショー
航空分野を専門とする丸紅のグループ会社の方が講演されました。エアモビリティ(eVTOL)業界に携わっている方のようです。
※既にオンラインの講演の配信は終了しています。
要旨
-
第一世代のeVTOL(キープレイヤー)はすでに絞りこまれた
-
eVTOLの運用は2024年ごろから徐々に始まっていくと予測。
-
eVTOLは大きく分けて3種類。それぞれ性能・活躍する場所が異なる。
-
社会に実装されるためには提携企業の協力・環境整備が必要。
-
課題は価格
-
丸紅グループはVertical Aerospace(EVTL)と提携。
内容ざっくりまとめ
市場予測
・2030年 2,000機
・2035年 15,000機のeVTOLが使用
アジア太平洋45% うち日本は約2,000機以上
獲得可能な史上最大規模:将来的には200,000機が全世界で使用される予測
⇒現在の航空機の10倍の数。
スタートアップ等によるeVTOL開発件数:現在400件以上
⇒コンセプト段階のものが大半。(実現性が低い)しかし、優れた設計のものもある。
なぜeVTOLが盛り上がっている?
・世界的な脱炭素の流れ
・バッテリー、モーターの性能向上
・ドローン関連の技術向上
・自律飛行につながる制御技術の向上
・素材の軽量化
などの要因あり。
eVTOLのメリット
- 低騒音:ヘリコプターの100分の一
- 安全性 旅客機と同じ安全基準
- 環境に良い:CO2フリー
⇒人の近くで運転できる
- 低コスト:部品数が少ないので整備にかかるコストはヘリコプターの1/5
- 自立飛行:運航コストの低減が見込める
⇒多くの人が利用できる
- 既存の交通ネットワークにとらわれない自由なルートづくりが可能
⇒移動時間の短縮につながる
競争力のあるeVTOLは?
第一世代で残る機種:15-20機種
重要な要素
・設計力
・資金力:機体認証には1000億円程度かかる
・製造基盤:サプライチェーンの確立
eVTOLの種類
マルチコプター型
飛行速度:70-120km
開発難易度:低
乗員数:2名まで
航続距離:50km前後
主なプレイヤーと動向
・Volocopter(ドイツ)
Volocity 2023年商用開始予定
Volocopter brings urban air mobility to life
・Ehang(中国)/EH216
2022年中国国内で運用開始予定
EHang | UAM - Passenger Transportation and Logistics
・skydrive(日本)/SD-XX
2021年10月、航空局へ型式承認を申請。
AIR MOBILITY - 空飛ぶクルマ - | 株式会社SkyDrive
・Xpeng(中国)/Voyager X2
Xpeng Officially Released First Manned Electric X2 Flying Car - YouTube
・Alauda(オーストラリア)/Airspeeder Mk4
2022年開催予定のeVTOLレースに向けて飛行試験中
Airspeeder — The Electric Flying Car Racing Series
・Lift Aircraft(アメリカ)/Hexa
2022年初頭から全米で飛行開始予定。期待認証が不要なカテゴリで遊覧飛行の事業をスタート予定。
リフト&クルーズ型
飛行速度:150-200km
開発難易度:中
乗員:5名程度まで
航続距離:100km前後
主なプレイヤーと動向
・BETA Technologies(アメリカ)/ ALIA
物流事業向けとして飛行試験が進められている
UPSから受注。2024年に納入開始予定
・Wisk aero(アメリカ)/ Cora
Kitty Hawk社とボーイング社の合弁会社
NASAと共同で環境整備を進める
・Eve Urban Air mobility(ブラジル)
エンブラエル社の開発部門からスピンオフ
ブラジル他複数の運航会社から大型受注。1500機以上の受注あり。
・Airbus(ヨーロッパ) / CityAirbus NextGen
2025年前後に期待認証取得めざす
CityAirbus NextGen - Urban Air Mobility - Airbus
・Honda(日本)/ eVTOL
2030年の機体認証目標。
・teTra aviation(日本) / Mk-5
2022年納入を目指す。
Commercial Model : Mk-5 - teTra aviation corp
ベクタード・スラスト型
飛行速度:150-300kmh
開発難易度:高い
乗員数:5~7名程度
航続距離:250km前後
・JOBY aviation(アメリカ) / S4
2023年機体認証、2024年ライドシェア事業化目指す
・LIlium(ドイツ)
2025年までに商用開始予定
・Kitty Hawk(アメリカ) / Heaviside
Googleの共同創業者が出資。2010年から開発を進める。
一人乗り。米軍との契約で飛行試験実施中
・Archer(アメリカ)/ Maker
2024年型式証明取得予定
ユナイテッド航空から200機受注
・Vertical Aerospace(イギリス) / VA-X4
2021年末SPAC上場。1350機受注。丸紅グループが出資。
型式承認2024年、2025年商業運航予定。
VX4 | Urban Air Mobility | Vertical Aerospace
・Hyundai Motor(韓国) / Supernal
各国の航空法整備について
世界をリードするのはアメリカ連邦航空局(FAA)と欧州航空安全機関(EASA)。
中国民用航空局(CAAC) :アメリカ・ヨーロッパに対抗して独自路線で進める
日本の航空局、数か国の航空局はFAA・EASAを参考にして対応を進める
1時間弱でざっくりこのような内容でした。貴重な講演で非常に勉強になりました。
こういった講演は投資材料にもなり聞いてよかったです。
関連記事