自分本位。

株とモノ批評、時々小話。なんでもことばに。

読書記録:青木真也著 距離思考 曖昧な関係で生きる方法 格闘家と投資家は重なる部分があります。

 

以前、DMMの電子書籍半額セールをやっていたときに購入していた本。

彼の一ファンとしてなにも考えず購入しましたが、投資家と重なる点も多く値段以上の価値がありました。参考になり勇気づけられた一冊です。

あらすじ

家族の在り方、人間関係の在り方について著者の独自の目線で語った自伝。

離婚を経験して孤独を味わいそれを乗り越えた青木氏にとっての「ファミリー」に対する独自の価値観、孤独と対峙する格闘家としての思いを綴っている。

 

参考になった・響いた言葉(本書から引用)

「今みんながやっている方法」を何の疑いもなく「いい」と思い込んで、「みんながやっているから安心だ」という理由で、それを取り入れることはない。(47ページ目)

格闘技におけるトレーニングやコンディショニング方法について語った一節。情報を集め自分に合うものかどうかを冷静に考える必要だと述べている。

また、著者は人と群れないことを常に意識している。同業者と練習することはあれどもプライベートでの交友はしない。なにより彼は自分の価値観「ものさし」を重視しているからだ。

投資家も格闘家と同様、結局は自分の判断で銘柄を選び投資することになる。孤独な闘いだ。他人の意見を何の疑いもなく鵜吞みにして自分が持つ軸がブレブレになってしまっては結局は群れている人達と同じことになる。本等から得る知識においても同様である。それでは唯一無二の存在になることはできない。

 

勝負師とは諦めがわるいものだ

 

人は勝負に強い人と弱い人に分かれる。

勝負に弱い人はわかりやすくて、人前で恥をかくのも嫌がるものだ。開き直れないという特徴もある。格闘技における勝負弱い選手となると、もう一つ大きな要素がある。そういうヤツらは「勝負師」の顔を持っていない。あくまで自分はいちアスリートであり、いち格闘技選手だと自身のことを考えている。

一方勝負に強い人はとことん勝負師的思考を貫いている。自分が勝負師として生きていることを強く意識しているのだ。

勝つためには、目の前の戦いを楽しみながら、諦めず、しつこく、粘り強く向きあう。(79ページ目)

勝つか負けるかの世界に常に身を置いている青木氏の勝負に対する価値観を述べる一節。有名なトレーダー達も諦めの悪さや粘り強さであったり勝負を楽しむ点ではほとんど同じのように思える。彼らも勝負師と自覚しており、成功を収めているのは負けても投げ出さずにしつこくトレードに 向き合った結果だろう。

 

できる限り、リスクは負わない。勝負師としてリングに上がる立場だからこそ、負けの可能性を秘める要素は極力排除する。(111ページ目)

試合中、ハイリスクになる行為はしない。リスクは最小限に抑え、適切なリターンを取りにいくことにしている。(112ページ目)

 格闘技における距離感(間合い)の重要性について述べた一節。

格闘技では相手との距離を詰めることはハイリスク・ハイリターンな行為である。相手へ攻撃はしやすくなるが、逆にダメージを負う可能性も高くなる。青木氏は一気に距離を縮めるようなことはせずに常に彼は警戒心を持ってやや遠めの位置から「ゆっくり、近く」相手との距離を縮めていく。自分が戦いやすい距離感を理解し、それを維持できる人間が格闘技では強者になれると述べている。

投資の場合も同様に、資金の投入の仕方と重なる部分がある。相手との適切な間合いも分からないまま一気に距離を詰めてしまい大きな痛手を負う可能性が高いのも投資の特徴。

 

息をしていることが生きていることではない。生きるとは何かに熱中して、魂を燃やすことだ。意思を持たない右へ倣えの集団に振り回されるのではなく、自分とは何か、生きるとは何かを問いながら大事に生きていこうと思うし、多くの人にもそうあってほしい。(146ページ目)

命の次に大事なものについて述べる箇所の一節。

引退も考える程の負けを経験し、打ちのめされ、這い上がって復活した人間だからこそ言葉に重み、説得力が感じられる。

 

おわりに

格闘家も投資家もどちらも一人で勝負していることには変わりはない。一人で戦って生計を立てる著者のマインドは見習うべき、参考にすべき点が多くあり、とても満足できる一冊でした。