自分本位。

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「お取引様」について考えたらとんでもないことが分かったかもしれない

社会人になって頻繁に出くわす「お取引様」という言葉がある。
これは取引相手である他社をひとまとめにする言葉だ。
他社から届く文書や、同僚上司らが発する言葉で出てくる何気ない言葉で多くの人が使っている。だがこれには非常に違和感を覚える。
指摘したいのは「お取引様」ではない。「お取引様」だということである。
これについては絶対に「お取引様」が100%間違っていると断言する。

 

リアルでこんなことを声高に主張したところで、
細かいことを気にする器が小さい人だと思われるだけで終了してしまうだろう。
仮に自分が正しくても自分が間違っているような雰囲気を出されて終了だ。

しかしながら、自分としてはこの言葉を使われると非常に気持ちが悪い。
なので細かすぎる自分の思いのひとかけらをここに記す。

 

以下は根拠など。

「取引」の意味とは

まずはじめに「取引」とはどういう意味なのかを考える。

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https://www.weblio.jp/content/%E5%8F%96%E5%BC%95

引用:weblioより

 

「取引」とはこのように何らかの経済的なやりとりや交渉などの行為自体を指す名詞である。

「様」について

次は「様」について考える

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https://www.weblio.jp/content/%E6%A7%98

引用:Weblio辞書

 
様(さま)は他人・他社に付ける言葉なので、ここでは

1 人を表す語(名詞・代名詞)または人名・役職名・団体名などに付いて、尊敬の意を表す。「お嬢—」「お殿—」「あなた—」「田中—」「社長—」「商店会御一行—」

この意味で用いられる。


取引に「様」を付けると明らかにおかしい

以上の意味を踏まえて全部つなげてみよう。

「取引様」となる。

取引という行為自体に様を付けていることになる。
これはもはや擬人化である。

 

例えば行為を表す言葉に「所有」という言葉がある。

「所有者様」という風に「所有」という行為を表す名詞に人を表す「者」をつけることで意味は通じる。だが「所有様」とは言わない。これはおかしい。

   

 

 「先」について

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13 交渉の相手方。先方。「—の出方しだいだ」

「先(さき)」の意味で合うのはこれ。

「取引」に「先」をつけることで交渉、すなわち取引の相手方(人・他社)という意味に変化する。

 

検索した時のヒット数

お取引様

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お取引先様

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ヒット数は70万件程度の差で「お取引先様」が勝利した。
しかしながら「お取引様」も110万件程度ヒットしており、残念ながら一般企業で堂々と使用されている。

様がついた正しい使い方の言葉

・ご主人様

・お客様

・利用者様

・契約者様

 

様の前にあるのは全て人を指す名詞なので全く違和感がない。

 

まとめ

「お取引様」は分解して考えると取引という行為自体を指す名詞に様が付いているのでこれは絶対におかしい。「先」という相手を示す言葉がついてようやく意味が通るということを伝えておく。

 

新事実発見か? 「お取引様」を追求して新たに浮かんだ可能性

一旦一息ついて、改めて「お取引様」について深く考えてみた。

視点を変え、「お取引様」は「お取引先様」と全く別の意味で使っている可能性があるのではないかという点だ。

ここで新たな可能性が浮かび上がった。

 

堂々と「お取引様」と言っている人は、ひょっとすると姿かたちのない「取引さん」という実際には存在しない空想の事物を人に見立てて相手している可能性があるということだ。
そもそも彼らは「取引先様」とは全く別モノとして使っており、なんらかの高等なエアプレイをしているかもしれないという線がまず一つ考えられる。


もう一つは、「お相手は一般の方」の一般からもことごとく外れる自分のようなドのつく一般人では認知できない「取引さん」というUMA的なものが存在していて、彼らが一般人にうまく紛れ込んで生活しているのかもしれないという事だ。

もしこのような事実があり触れてはいけないタブーだったとすれば特定されないことを祈ろう。関係者の方はもしこれを見てもみなかったことにして欲しい。くれぐれも特定などしないように最後に伝えておく。